転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


380 魔道オーブンでお菓子を作ろう!



「あら、ルディーン。また柔らかいパンを作ってるの?」

 前に柔らかいパンを焼いてから数日後、僕は台所で小麦粉を一生懸命ふるってたんだ。

 そしたらね、それを見たお母さんがまたパン作ってるの? って。

「ううん、違うよ。こないだパンを作ったときね、キャリーナ姉ちゃんがケーキ作ってって言ってたんだ。でもいきなりおっきいのを作ったら失敗しちゃうかもしれないでしょ? だから僕、一人でちっちゃいのを作ってみようって思ってるんだ」

「ケーキ? パンケーキと同じような名前だけど、それとは違うものなの?」

 だから僕は違うよって教えてあげたんだけど、そしたらお母さんはキャリーナ姉ちゃんとおんなじことを言ったんだよね。

 そっか、ケーキだよって教えてあげるだけじゃ、みんなパンケーキを思い出しちゃうよね。

「うん。あのね、アマンダさんのとこでとっても柔らかいお菓子作ったでしょ? ケーキはね、あれを使ったお菓子なんだ」

「そう言えばそんなのもあったわね」

 アマンダさんと一緒に作ったスポンジケーキ、あれの事をお母さんも覚えてたみたい。

 だからあれを使ったお菓子を作るんだよって教えてあげたら、すぐに解ってくれたんだ。

「そう言えばあの時、はちみつを入れてフライパンで焼いたら全く別のお菓子になったものね。今回もあんな風に、別のものを入れるの? それともあれのオーブンで焼いたもの?」

「ううん、違うよ。あの時入れなかったバターは入れるつもりだけど、今から作るのは果物とか生クリームとかを使って作るやつなんだよ」

 そう言えばあの時って、はちみつ入れたりお砂糖を下に敷いたりしてカステラみたいにしたんだっけ。

 あの時はパンケーキみたいにして焼いたけど、キャリーナ姉ちゃんが甘くて好きって言ってたし、今度型を作ってちゃんとしたカステラを作ってもいいかも?

 でもね、今日は生クリームを使ったちっちゃなケーキを作るつもりだったから、僕は違うよって教えてあげたんだ。

「あら、あのお菓子もパンケーキと同じような食べ方をするのね。でもそう言えば膨らませる粉以外はほとんど同じ材料なんだし、考えてみると生クリームや果物が合うのも当たり前よね」

 そしたら生クリームをのっけたパンケーキを思い出したのか、お母さんは確かに美味しそうよねってうんうんって頷いてるんだよ?

 う〜ん、ちょっと違うんだけどなぁ。 

 そう思ったんだけど、どうやって教えてあげたらいいのか解んなかったもんだから、僕はとりあえず作って見せる事にしたんだ。


「私はお手伝いしなくてもいいの?」

「うん! 今日はね、僕一人でやってみよって思ってるんだ」

 今日作るのはみんなで食べるおっきなのじゃなくって、カップケーキみたいなちっちゃなのなんだよね。

 だから材料も少ないし、焼く型もちっちゃいから僕一人でも何とか作れるでしょ?

 それに火を使わずにオーブンで焼くから、今回は僕一人で作ってみようって思ってるんだよってお母さんに教えてあげたんだ。

「あら偉いわね。でも、ここで見ているだけならいいんでしょ?」

「うん、いいよ!」

 ニコニコしてるお母さんに見られながら、僕は小麦粉をふるってく。

 でね、それが終わったら、今度は卵の番だ。

「あら、ルディーン。魔法で動く泡だて器は使わないの?」

 まず卵を割りながら黄身と白身を分けた後、僕が魔道泡だて器じゃなくってかき混ぜるための木のフォークを取り出したもんだからお母さんが不思議そうにこう聞いてきたんだ。

「ううん、使うよ。でもね、まずは普通ので黄身と他の材料を混ぜとこって思ってるんだ」

「という事は、そのフォークは黄身をかき混ぜるのに使うって事なのね」

 白身を泡立てる時は、こんなのでかき混ぜてたらいつ出来上がるか解んないから当然魔道泡だて器を使うよ?

 でも黄身は泡立てるわけじゃないし、他の材料を入れてかき混ぜるだけだったらこっちの方が楽なんだよね。

 って事で、クラッシュの魔法を何度かかけて粉にしたお砂糖を入れてから木のフォークで混ぜ混ぜ。

 黄身だけだと量があんまりないでしょ?

 だからお砂糖を全部溶かそうと思ったらすっごく大変なんだけど、後で泡立てた白身と混ぜた時にもういっぺんかき混ぜるから今はある程度溶けたところで放置。

 今度は魔道泡だて器を使って、白身の方を泡立て始めたんだ。

「へぇ、アマンダさんから聞いていたけど、白身だけだとこんなに泡立つのね。まるで生クリームみたいだわ」

 お母さんの言う通り、魔道泡だて器でかき混ぜてると白身があっという間にクリーム状になってったんだよ。

 でね、ここで魔道オーブンのスイッチオン! 中がちょっとあったまったら一度スイッチを切って、その中にバターを入れておく。

 こうしとけば、他の事をしてる間に溶けてくれるんだよね。

「あっ、木べらがいるんだった」

「そうなの? とってきてあげるわ」

 次に泡立てた白身とさっきお砂糖を混ぜた黄身を混ぜるんだけど、この時は白身の泡がつぶれちゃわないように木べらを使ってゆっくりとかき混ぜないとダメなんだよね。 

 だから僕はお母さんがら木べらをもらうと、白身の中に黄身をちょっとずつ入れながらゆっくりと混ぜていく。

 でね、しっかりと混ざったら今度はさっきふるっといた小麦粉を全体に広げるように振りかけて、またゆっくりと混ぜ混ぜ。

「こんなもんかな?」

 しっかりと混ぜて粉っぽさが無くなったのを確認した僕は、オーブンの中からバターを取り出した。

 そしたらね、完全に溶けちゃってたんだけど、長く入れすぎてたからなのかちょっとあっつくなってたんだよね。

 だからそこにちょびっとだけ牛乳を入れて冷ましてから、そこにさっき混ぜた生地を少しだけ投入。

「あら、そのバターに生地をそれだけしか入れないの?」

「ううん、違うよ。これをこうしてっと」

 バターに入れた生地をかき混ぜてしっかりとなじませてから、僕はそのバター入りの生地を他の生地の中に入れたんだ。

「なるほど。いきなりバターを入れるよりも、そうやって少量をなじませておいてから混ぜた方が全体に良く混ざるのね」

「うん! こうした方がおいしくなるんだ」

 バターってつべたいとこに入れちゃうと、すぐに固まっちゃうでしょ?

 だから溶けてる間にちょっとの生地と混ぜてからじゃないと、生地全体に良く混ざんないんだよね。

「後はこれをかき混ぜてっと」

 バターの入った生地を全体によく混ぜたら、予熱のために魔道オーブンのスイッチをもういっぺん入れて置く。

 でね、あらかじめ作っておいた銅でできたカップの内側にバターを塗ると、そこに木のさじで生地を入れてったんだ。

 そして全部のカップに生地を入れ終わると、

「最後にこれをやんないとね」

 僕は一個一個のカップを持ち上げては2回ずつとんとんってちょっと高めの位置から落としてったんだ。

「それは何をやってるの?」

「解んない。けど、これをやっとかないとうまく焼けないんだってさ」

 そう言えば、何でこんな事するんだろ?

 でも、前の世界で見てたオヒルナンデスヨで、最後にこれをやんなきゃダメって言ってたんだよね。

 だからよく解んなくっても失敗しないようにちゃんと全部とんとんってやってから、そのカップをオーブンに入れる鉄板に乗っけたら焼く準備は完了。

 魔道オーブンを中の温度が160度になるように活性化した火の魔石の量を減らしてからそれを入れたんだ。

「後は焼きあがるのを待つだけだよ」

「そう。上手に焼けるといいわね」

「うん!」

 このまんま25分くらいは焼かないとダメだから、僕とお母さんが使った道具を洗いながら出来上がるのを待つことにしたんだ。


 少し遅めのご挨拶になりますが、皆様、あけましておめでとうございます。

 今年も転生したけど0レベルをよろしくお願いします。

 さて、初めての魔道オーブンを使ってのお菓子作りです。

 思えばルディーン君ってこの物語の序盤も序盤、38話の次に書いた閑話の時点でケーキを作ろうとしてるんですよね。

 その念願のケーキが、いよいよ次回完成! するよね?w


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